はじまり

story

祖父の農地。自分の夢。ブルーベリーとの出会い

私は京都で生まれ育ち、東京で広告デザインの仕事をしていました。
つくば市は、妻の実家です。
妻の実家は、90歳の祖父を中心に、つくば市で芝を中心とした農家を営んできましたが、近年は十分に収益をあげられなくなっていました。
でも後継者はおらず、農地を将来的にどうするかも見通せない。
そこで、孫娘の夫である私がいつかその農地で何かできないだろうかと考えたのが、農業に興味をもつ最初のきっかけでした。

  • 農業に興味をもつきっかけになった90歳の祖父
    農業に興味をもつきっかけになった90歳の祖父。(写真は2020年撮影)
  • FARMのブルーベリー観光農園の場所となる芝畑
    後にアオニサイファームのブルーベリー観光農園の場所となる芝畑。

そのころの私は、30代も半ばを過ぎ、限られた自分の人生をどう生きていくかについて悩んでいました。
「人から依頼を受けたものを制作するデザイナーもすばらしいけれど、その枠を超えて、自分自身で何かを築きたい。それを世の中に発信して生きていきたい!」という夢が、年々ふくらんでいた時期だったのです。

そんな折、出身地の京都の知人から、「ブルーベリーの観光農園」の新規立ち上げに広報として携わってほしいと依頼があり、私は驚きました。生まれて初めて、夢かと思って頬をつねりました。痛かった。
まさに興味を持ち始めていた「農業」であり、「自分自身で何かを築き、発信する」を実践でき、しかもなんと、つくば市が日本有数の特産地である「ブルーベリー」について実戦経験を積みながら学べるチャンスが、いきなり訪れたのです。
2016年、運命に導かれるように、私は妻と共に東京から京都へ引っ越しました。

  • 本当に1からのスタートでした
    京都に戻りまず始めにしたことは、更地を整地すること。本当に1からのスタートでした。
  • ログハウスも自分達で手づくりしました
    ログハウスも自分達で手づくりしました。
  • ポットを並べブルーベリーを植えます
    整地が終わると、全面にシートを貼りその上にポットを並べブルーベリーを植えていきます。
  • 配管をセットし完成
    各ポットに水と肥料が自動で行き渡るように配管をセットし完成です。

甘くて大きくてジューシー。この感動を伝えたい

京都で私は、東京での広告デザインの仕事はそのままリモートで続けつつ、ブルーベリー栽培と農園立ち上げを学びながら実践するという濃厚な日々が始まりました。

そこで私が学んだブルーベリーの栽培方法は、品種別にph値や肥料量を適正管理し、そのうえ個体別に独立のポットで疫病管理をするという新しい方法でした。
それは最初、従来の「地植え」に比べてただ機械的な印象を持ちましたが、実際のところは、目の前のブルーベリーひと苗ひと苗の性質と状態を把握し、それぞれに適応したお世話を続けていくことで本来の美味しさを存分に引き出す、人間味あふれる栽培方法であると感じたのです。

ようやくそのブルーベリーを食べたのは、3年目になってからでした。
そのときの感動を私は忘れることができません。
「なんて甘くて大きくてジューシーなんだ・・・。」
それは、頭の中でイメージしていたブルーベリーとはまったく別物でした。
「この感動を色んな人に味わってもらいたい!」
私は、開園に向けて栽培にも全力で携わりながら、いっそう心を込めて広報業務に取り組みました。

  • 京都の農園
    京都の農園。ここまで完成させるのにも時間がかかりましたが、ここからさらに苗を育てていきます。
  • 徹底的にこだわった栽培方法
    徹底的にこだわった栽培方法。これが美味しさの秘密です。
  • ブルーベリー
  • 3年目のブルーベリー
    苗を育てて3年目のブルーベリー。食べてみると大粒で甘くてジューシー。感動ものでした!
  • ブルーベリー
  • 糖度計で測ってみる
    糖度計で測ってみると、なんと糖度23.1%!(ちなみにメロンは約15%・リンゴは約13%)

京都で農園立ち上げを成功させ、つくば市へ

ウェブサイトからブログ、SNSなどを連動させ、さらには飲食店も併設しながら展開し、オープン時にはテレビや雑誌の取材に多数来ていただくことができました。
農園はその後も、来場の予約が取れないときがあるほどの賑わいとなり、家族で休日に楽しめるスポットとして認知されていきました。

この経験の中で学んだのは、農業ではおいしい作物をつくることが第一ながら、それと同じくらい、ブランドづくり、デザイン、それらをあわせた情報発信力が重要だということです。
それらが、販路の開拓につながり、先の見えない時代における経営力につながっていくと考えます。

京都のブルーベリー農園で3年間、栽培と広報の濃厚な経験を積みました。
そしていよいよ、妻の実家の農地があるつくば市で、自分のブルーベリー農園を立ち上げることを目指し始めたのです。

  • テレビ・雑誌の取材をうける
    オープン前から情報発信を続けていたおかげでオープンと同時に多数のテレビ・雑誌の取材をうけることができました。
  • 京都市街地から少し離れた山手の場所
    京都市街地から少し離れた山手の場所に位置する農園でしたが、シーズン中は毎日たくさんの方に訪れていただきました。
  • ブルーベリーピザ
    農園の併設店舗で提供していた「ブルーベリーピザ」。蜂蜜をかけて食べる新感覚デザートピザとして人気でした。
  • 手作りで作った石窯
    農園の併設店舗に手作りで作った石窯。この石窯を使って「ブルーベリーピザ」等を焼いていました。
  • 小さいお子さんも美味しい!
    小さいお子さんも「美味しい! 美味しい!」とパクパク食べていたのが印象的でした。
  • 笑顔が最高に嬉しかった
    訪れていただいたお客様が楽しんでくださる笑顔が最高に嬉しかったです。このときのお客様とのふれあいが、”自分の農園を立ち上げたい”と思ったきっかけの一つです。

国の支援をいただき、ブルーベリー農家として出発

農園の立ち上げにはかなりの資金が必要です。
そこで、私は農林水産省が実施している「青年等就農計画制度」を利用して支援を受けるため、つくば市と相談しながら計画書類等の作成を始め、2019年10月には家族でつくば市に移住しました。
支援を受けるための条件はさまざまあり、市役所の担当者と一緒に何度も計画書を修正しながら、2020年2月、ついに「認定新規就農者」になることができたのです。
その後、新型コロナウイルス感染症の蔓延等もありスケジュールは変更を余儀なくされましたが、いくつかの手続きを経て、「認定新規就農者」限定の融資制度を受けることができました。
そして、井戸、森林伐採、整地、電気、ネット等のさまざまな工事や準備を進め、2020年12月に農園を完成することができたのです。

  • 森林伐採からスタート
    つくばでも始めは整地から。駐車場と事務所のスペースをつくるための森林伐採からスタートしました。
  • 農園づくりは慣れたもの
    京都での経験があるので、農園づくりは慣れたものでした。ただ京都よりもだいぶ広いため、準備には時間がかかりました。
  • 90歳の祖父も手際よく
    90歳の祖父も手際よく作業を進めてくれました。さすがレジェンドです!
  • 無事に農園を完成
    家族のみんなのおかげで、着工から半年で無事に農園を完成させることができました。
  • 休憩所兼事務所も完成
    休憩所兼事務所も完成し、今後ブルーベリーの管理もしやすくなります。
  • 最高に美味しいブルーベリー
    ここからが本当のスタートです。最高に美味しいブルーベリーを育てます!

こうして私は、40歳にして新人ブルーベリー農家として出発しました。
これから、人々に喜んでいただき、自分と家族の人生をより豊かにするための歩みを始めていきます。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

AONISAI FARM
アオニサイファーム

代表 青木 真矢